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組織開発研究会

組織文化診断実績

保険会社(ホワイトカラーの生産性50%向上)

《事業と会社の特性》

生命保険の第3分野をメイン事業としている会社(B社)があるとする。B社は、がん保険、介護保険といった商品をグローバルで展開している。

日本では第1分野の生命保険(終身保険、養老保険、定期保険等)や第2分野の損害保険(自動車保険、火災保険等)が一般的である。死亡したら家族が保険金をもらう商品はなぜか日本が最も売れるらしい。

がんという病気が一般的になり早期発見で治癒できる可能性が高いこと、健康で長生きをしたいことなどのニーズに合致して、B社のがん保険は急成長をした。また、終身など第1分野と比較すると保険料も安価であることも新契約増を後押しした。2ケタ成長が20年続き、代理店も含め組織は大きくなり、商品の種類も増え、システムも大きくなっていった。それに従い、様々な管理業務も増えていった。

マネジメント層は主に転職組に頼っていたが、気づいたら多くの部下を持つようになっていた。新卒新入社員も多く、優秀な学生や中途採用組も成長するにつれ増えてきた。しかし、受注の原動力は代理店の数と教育(商品知識とシステム)によるところが大きい。

貯蓄型の保険は、一度契約すると継続率は高い。また、商品選択も安心できる企業であるかどうか、つまり昔から知っているブランドが強い。それに比べ、第2分野や第3分野の保険は最終的に単価競争になり、スイッチングコストも低い。

そこでB社は成長に伴って増えたであろう不必要なコストを削減することにした。それは例えば、成約までの時間を短縮するなどオペレーショナルの効率化をもたらす。また、スムーズな審査や給付は顧客満足も向上させることになる。コストダウンとCSを同時達成することになるのである。

広告宣伝費や代理店手数料は戦略的なコストであり、コミッティド・コスト(Committed Cost)である。システムは数理、契約管理などオペレーショナルを支える基幹であるので継続的投資が必要となる。結果、コストダウンの対象は人件費となる。

組織開発アプローチによるホワイトカラー生産性向上プログラムのサンプル

下図は組織開発の要素を踏まえて設計したプログラムのモデルである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■時間意識というプログラムを組み込む

B社は製造業ではなく保険業でありホワイトカラーの集団である。よって、ホワイトカラーの特性に適した生産性向上活動を仕組む必要がある。その鍵となるのが時間意識(時間生産性)である。

ホワイトカラーの仕事の生産性を測定するには、まずインプット(投入資源)に時間量を尺度とするのが実用的である。

時間はホワイトカラーの労働の量、質そして能力やコストに換算できる共通の尺度である。しかし、ホワイトカラーの仕事は、多種少量の業務を同時並行的に処理することが多く、どの業務にどの程度の時間を投入したのかは把握しにくい。

また、投入時間の測定においても活動形態が第三者から判別できる部分があったとしても「思考」という第三者では判別できない時間の測定が最も重要になる。その「思考」時間が、生産性を支配するので、本人の時間意識に基づく測定に依存せざるをえない。

「思考」する時間は、本人にとっても思考内容に集中するため、時間尺度では測りにくい。しかし、本人の時間測定に基づいて、生産性測定の分母であるインプット(投入資源)を把握しなければならない。よって、本人の時間意識というものが生産性の改善や測定に大きく影響することになる。従って、一人ひとりが時間意識を醸成していくプログラムが必要になる。

時間意識というのは、単に長時間仕事をすることではない。成果に応じて有限である時間資源を配分することであり、それは目標時間を持って業務に臨む習慣をいう。人は慣れていることを無意識に先に行い、わからないことや面倒なことは後に回す傾向がある。また、飛び込み業務などの緊急性のある業務を優先し、重要性の高い課題解決型業務は後回しになる傾向がある。

例えば、昨日はどんなアウトプットを出しただろうか、それは事前に計画していただろうか、それに投入した時間は適切だっただろうか。先週1週間はどうだろう。幾つアウトプットを出しただろうか、そのアウトプットは事前に計画したものだろうか、投資した時間は健全であっただろうか。

こうした実態に対して、一人ひとりが振り返ることで時間の使い方を意識しなければ、BPRであろうがスコアカードであろうが、どのような改善活動も実行されず、実行されても元に戻る可能性が高いのである。

 

このプログラムは上図でいう「意識と行動」に該当するものである。組織開発というのは組織文化の創造であるので、対象は全社員となる。モデル部門で取り組むか全社一斉に取り組むは別途検討が必要であるが、波及効果(感染効果)を考えればモデル部門で取り組むのがよいだろう。

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