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組織開発研究会

組織文化診断実績

主語別乖離と目標達成度の関係

 実際に診断を行うには、当該企業の歴史、事業特性、業務特性などを分析し、またマネジメント制度の特徴や業務の実態など十分な現場インタビューを通じて診断を行う必要がある。数値だけでは、その因果が読みきれないからである。

 

 1985年から組織文化診断を行ってきた。コンサルティングにとっては、組織文化を把握することは、施策を練る上で欠かせないものである。組織は人と同じでそれぞれ体質のようなものがある。頭痛がするといって頭痛薬を処方して効くとは限らない。逆効果ということもある。

 

 これまでの経験とデータベースから、その企業の規模や歴史或いはマネジメントの違いはあっても、共通した傾向というものがあるようだ。

 その一つが、主語別乖離である。主語別乖離というのは、主語別の「はい率」を聞く。例えば、「あなたは仕事に対して強い責任感を持っていますか。」「あなたの会社では、全員が責任感を持って仕事に臨んでいますか。」といった具合である。

 この2つの設問の「はい率」の差が主語別乖離である。あなたは~設問のはい率が高く、あなたの会社は~設問のはい率が低いということは、あなたはいいが、会社はよくない、といっていることになる。

 

 役職別のはい率にも同様の傾向がある。部長職のはい率は高く、担当者層のはい率は低いというものである。重要なことが、その乖離が健全な乖離であるかどうかである。変動係数をみることで健全な乖離であるかどうかをみることもできる。

 

 下表は、10社の主語別乖離と目標達成度の関係をみたものである。(あなたは設問の平均はい率)―(あなたの会社設問の平均はい率)を引いた値と、対象部門の目標達成度(方針管理などで設定された目標達成率。業績や改善など。)の関係をグラフ化したものである。単に業績と比較しないのは、業績は景気など外部要因で短期的に大きく影響を受ける場合がある。目標を達成したとしても必ずしも損益計算書にダイレクトに反映するものではないからである。

 この結果をみると、主語別乖離と目標達成度の関係には緩やかであるが相関があることが伺える。

 主語別乖離が15%以上あると、目標達成度は80%以下である。また、10%以下であると90%以上である。

 

 

 主語別乖離の背景にあるのは、属人的業務実態があると想定される。隣の人が何をやっているか知らなければ、どのような目標を設定してどのような成果を出したのかもわからない。常に定時で帰宅していれば、あまり仕事をやっていないのではないか、と勘違いするかもしれない。チームで仕事をせず、自分の仕事で忙しい場合、他者の仕事ぶりはわからないので、一生懸命やっているかどうか明確に回答はできないので、はい率は必然低くなる。

 

 その意味では、主語別乖離は、組織総合力を問うているともいえる。戦略論に、VRIOモデルというものがある。他社にはない強みを問うモデルであり、Oは組織総合力を問うている(Organizational arrangement to execute strategy)。

 企業が強みを発揮するには、個人の頑張りだけではなしえない。組織総合力が前提になる。

 

 私のつたない経験で恐縮であるが、主語別乖離が大きい企業は(上記の10社ではない)、数年後、業績を悪化させ、中には資本参加など改革を迫られた企業が多い。

 

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