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組織開発研究会

企業のトリビア募集

競争優位から市場優位そして学習優位へ

 戦略、学習する組織、感情学習、組織形態という側面から組織開発との関係性についてみてみる。

 リーマンショックは金融がグローバルであることを証明した。リーマンショック前は多少乱暴な括りをすれば競争優位の時代であったといえる。

 マッキンゼーによれば不確実性が比較的低いミクロ経済のモデルにおいて、競争優位は適合する。(注)競争優位の源泉は3つの前提からなる。一つは、業界は独立という前提である。よって、ポーター理論にある5フォース(5Forces)、買い手、売り手、代替品、競合他社、新規参入者で構成される。

 二つ目の前提は、競合他社および新規参入者に対して参入障壁を持つことが重要であり、それは構造的優位が価値の源泉になるというものである。

 三つ目の前提は、不確実性が低いので参入者の行動が比較的予測できるというものである。

 これ以外に競争優位の源泉として2つを追加してあげている。一つは、現場の実行力である。競合他社が構造的優位をもっていたとしても、処理能力や改善能力によって相手の構造的優位を凌ぐことができる。代表的なものはトヨタのオペレーショナル・エクセレンスである。

 二つ目は洞察力や先見性である。これは技術力、専門性、卓越した創造性といったリソースのことである。

 経済環境がよりグローバル化することで不確実性は増すことになる。不確実性が低い環境では、投資対リターンもNPVなどでシミュレーションしたであろうが、市場の条件が変わる可能性を考慮し、リアルオプションなどを用いないといけない。

 未経験の市場では、どのように生活者が反応するか特定化できない、よっていくつかのシナリオを用意しておく必要がある。競合他社も予期せぬとこころから登場するかもしれない。ゲーム理論を使った仮想相手のシミュレーションも必要になる。(注)「マッキンゼー 戦略の進化」2003年ダイヤモンド社

  リーマンショックが世界同時不況になった理由はどこにあるのか。西欧先進国の資金が実需のあるアジア市場へ資金が流れなかったことで世界同時不況になった。しかし、その後様相は変わってきた。

 アジア市場における証券市場の整備、上場企業の増加などをみれば、アジア市場という経済圏で資金を自立的に循環できるようになってきたといえる。

 これは高度成長を意味する。高度成長が戦略的に意味するのは、成長する市場に身を置いているということである。後発で成長市場へ赴くということは、継続的に投資をし続ける一方で、ポジションは低いということになるので、PPM(Product Portfolio Management)でいうところの問題児になる。

 よって、どの市場、どの財に先行して身を置いているかが極めて重要になる。規模の経済を先に作った方が勝利者となる可能性は極めて高い。よって、競争戦略(競争優位)<市場戦略ということになる。

  新たな市場、不確実性の高い市場において重要なことは、市場の動きを繊細にとらえることである。これは成熟の市場においても購買者の購買行動が不確実性を増せば同様である。

 CRM(Customer Relationship Management)で顧客および顧客の購買データを集積したとしてもそこからはヒントを見いだせないことがある。何かを仕掛けてその変化をみることで消費者の動きや流動を察知することができる。単に結果をみても意図的な仕掛けつまり仮説に対する変化(検証)をみなければ気づきはない。

 そうしたゆらぎともいえる変化を市場から俊敏に把握し、戦術そして戦略まで俊敏に適応・変化させる組織能力が求められる。既存の理論やシステムのフレームワークにこだわるのではなく、創造的(より柔軟で有機的)に進化していくマネジメントそれが学習優位である。

 そしてこの学習優位は組織文化が大きく影響し、組織開発のアプローチが必須となるはずだ。

  ここで重要なことは、戦略から組織開発へアプローチしてきたこと(近づいてきたこと)である。

(書籍「組織開発」より)

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