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組織開発研究会

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組織開発の定義

 梅澤正著「組織文化の視点から」(1983年)は組織開発、組織文化を語る上で忘れていけない著作である。筆者自身、80年代に組織文化診断を開発する際、最も影響を受けたものであり、今なお読み返す数少ない著作である。

 彼はその序章「組織を開発する」において大きく3つのことを述べている。一つ目は、適応に向けて組織を変革すること。これは変化を感受して柔軟に対処する組織のことで内外の要請を確実にキャッチし、それによく対処しうること、といっている。前者は組織が備えるべき感受性であり、後者を柔軟性とよんでいる。また、一つ目の要素として、組織を機能全開にさせることをあげている。

 二つ目は、組織を活性化し、組織能力を育成することをあげている。これについては二つのことをいっている。組織が戦略を決める。チャンドラーは、組織は戦略に従うという立場をとり、アンゾフは戦略が組織に従うという命題を出している。戦略を作り出すのは組織である。よい戦略もよい組織活動を通じてこそ策定できる。組織がダイナミックに動き、活動してこそ、優れた戦略を生み出すことができるというものである。二つ目は、組織の意欲と能力を高めることをあげている。組織開発の必要性と重要性は、優れた戦略の策定だけではなく、実践されないと意味がない。つまり、「経営とは組織なり」という命題に帰結することになる。

 当然であるが、組織開発は個人行動還元論の立場はとらない。組織を変えても結局個人が変わらないといけない、という考え方は個人に依存しすぎる経営観であり、組織全体の在り方を規定するのがトップマネジメントであるという点が失念されているといえる。

 三つ目は、組織に文化を築くことをあげている。これに関しては二つをあげている。一つは創造的な組織文化の形成、二つ目は文化培養による土壌つくりである。

 創造的な組織文化の形成というのは、一言でいえば、次代に向かい、新たな行動様式をつくるということである。

 文化というのは組織またはグループにとって、どのように行動すればよいのかの羅針盤のようなものである。行動モデルとなる。何か課題に直面した時に、その行動モデルが成功を導くか失敗のリスクを軽減してくれる。一方でそうした行動モデルはそこから逸脱することを避けるという働きももたらす。

 新たな戦略や制度を実行する際、この文化が邪魔になる可能性もある。この対応には2種あって、一つは既存の組織文化と抵触しない範囲で改革を進める方法。一方は、新たな試みが根付くに十分なだけ既存組織文化も変容させ新たな文化を培養させる方法である。重要なのは後者である。土壌つくりとはこのことをいっている。

 

 

 

 

 W・ウォーナー・バークは組織開発の定義について次にように述べている。「個人のニーズと組織の目標をよりいっそう蜜に統合する変革であり、また、特に人材をはじめ経営諸資源をもっと活用して組織の効果性を高めていく変革であり、さらに組織のメンバーやその労働条件が直接影響を受ける意思決定には、メンバーをさらにインヴォルブさせていくような変革である。」「組織開発とは、行動科学の技法、リサーチおよび理論を活用して、組織文化のなかに起こす計画的な変革プロセスである。」

(1982年 Organizational Development)

 梅澤氏によれば、組織開発の目的は何かといえば、新しい行動様式が造出されることが目的である。いずれにせよ、共通していることは、組織開発の展開に当たっては、創り出すという姿勢が大事であるということ。よって、組織開発は、問題指摘型でとどまる限り、広く浸透し、深く定着することはない。

 

 

 

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