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組織開発研究会

企業のトリビア募集

組織開発の初期モデル

 主な歴史は米国になる。W・ウォーナー・バークは次の4つを先駆的事例としてあげている。ホーソン研究、産業心理学、サーベイ・フィードバック、T-グループである。

 ホーソン研究というのは聞いたことがある人も多いと思う。1924年から1933年まで、ウェスタン・エレクトロニック社のシカゴにあるホーソン工場で行われた生産性とモラールに関する実験と研究である。

 心理的あるいは人間的な要因が、従業員の生産性やモラールに重要な影響を与える。職場での作業ペースなど自分たちで設定できるような自律性を与える。業績と報酬の直接的関係についてフィードバックを受けない。変化について何かしらの選択権があり、何かしらの影響力を与える、といった内容のものである。

 産業心理学としては、1940年代後半から1950年代前半、インターナショナル・ハーベスター社で行われたリサーチ・プロジェクトがその代表事例として紹介されている。

 監督者に対し2つの側面で訓練を行うというものである。一つは「構造づくり」といわれるもので、タスクの方向性と効果的職務遂行に関するもので、もう一つは部下の欲求や感情に対する「配慮」や感受性に関するものである。

 訓練当初、配慮のスコアが高くなったが、その後もとに戻ってしまった。当初より配慮に欠けるチームも出てきた。調べてみると、監督者の上司も構造づくりには力を入れているが、配慮には欠けていたことがわかった。一方で、監督者の上司も配慮に力を入れていた監督者だけが、配慮についての測定を継続して高いスコアをあげていた。部下の態度と行動、上司の態度と行動には直接関係があり、この関係はトレーニングの影響よりも強いというものであった。

 換言すると、トレーニングを最初から支持する文化のあった部門(監督者とその上司の双方が同じ意識を共有している部門)だけ効果があったということであり、トレーニングの影響は所属する組織の文化に密接な関係があるということを示している。

  一人のリーダーより複数のマネージャーが価値を共有することが活動を継続するポイントであり、文化形成に繋がると示唆している。

 サーベイ・フィードバック技法は、1940年代後半から1950年代にかけて開発されたもので、組織診断とグループ・ダイナミクスの2つを融合したものである。

 サーベイ・フィードバックは文字通りサーベイ(調査)とフィードバック(確認・差し戻し)の2つからなる。サーベイは従業員が組織の中の様々な要因をどのように認識しているかを知るためのものである。フィードバックはサーベイの結果をシスティマティック(公式に組織上部から下部へ伝達される)に報告することである。

 フィードバックをした際、マネージャーがその情報に対し、どのように対処したかで改善(結果)の良否は決まるというものであった。マネージャーがサーベイ結果を部下と共有せず、また組織改善計画を立てなかった場合、なんら変化は起きずむしろ欲求不満だけがたまった。フィードバックを共有し組織改善を伴に計画した職場には改善がみられたというものである。

 フィードバックの仕方によって効果は異なるが、フィードバックという機能は、組織改善には欠かせないものである。

  T-グループというのは感受性訓練ともいわれている。Tとはトレーニングの意味である。1940年代から研究が行われている。参加者は自分の行動を他者がどのように認知しているか、そしてその行動が他者にどんな影響を与えているかなど、グループ討議を通じて、自分の行動に対してより高い感受性をもつようになったというものである。

 T-グループは小グループ単位で行われる。グループ内でそれぞれのメンバーが相互フィードバックを受ける。このフィードバックが個人の洞察力や啓発を助ける学習リソースとなる。これはグループ間でも行われる。

 日本でも小集団活動というものが盛んに取り組まれた時期がある。現在でもその文化は伝承されている。

 組織開発においてチーム活動は核となる、ということを示唆している。

 組織開発(OD:オーガニゼイション・ディベロップメント)という用語は、1950年代後半、ダグラス・マグレガーとリチャード・ベックハードがジェネラル・ミルズ社において、ソシオテクニカル(社会技術的)アプローチで変革を試みたプロジェクトで生まれる。

 そのプロジェクトの内容は、仕事の構造の一部を変えて、チームワークを活発にし、現場レベルでもっと多くの意思決定ができるように援助するものである。これを単にボトムアップと呼ばず、また組織改善という言葉でも満足できず、この活動を組織開発と呼ぶことにした。

 その後、組織開発はアクション・リサーチとフィードバック・サーベイという2つの技法を中心に発展していくことになる。

 

 

 

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