ナドラー/タッシュマンのコングルーエンス・モデル(D.A.Nadler and M.L.Tushman)
1970年代の組織診断モデルの一つである。
コングルーエンス(congruence)とは適合性、調和といった意味である。組織をインプット、アウトプットそしてその間にある転換プロセスとフィードバックに構造化している。
インプットは、リソース(有形資産、無形資産)、組織の歴史、環境、戦略から構成されている。アウトプットは、システムの機能、グループの行動、グループ間の関係、個人の行動とその影響から構成される。
システムの機能というのは組織を動かす仕組みや制度のことである。私見であるが、組織開発においてシステムとは組織そのものを意味する言葉として使われていることが多い。よって、システム=組織(組織図やその構造ではなく、有機的存在としての組織)と読み替えていただいても構わないと考える。
システムが機能しているかどうかは、その組織が目標業績を達成したか、リソースをどの程度有効に活用したか、環境の変化にどの程度対応しているかを問う。
転換プロセスは、タスク、個人、公式の取り決め、非公式組織から構成される。転換プロセスはインプットをアウトプットに転換するプロセスのことである。
タスクは、タスクを処理するのに必要な情報やスキルそして相互依存関係についても問うものである。
個人とは、年齢、性別、スキル、個性、態度といったものである。公式組織の取り決めというのは、公式の組織メカニズムのことで予算制度、業務フロー、報酬制度、情報システムなどで、組織を組織化するものである。
非公式組織とは、非公式な情報網のことで、例えば、ある問題が起きたら誰に聞いたらよいかといった内容にことである。
コングルーエンスといっているのは、インプット各要素の適合性、転換プロセスとの適合性、アウトプットへの適合性をみることである。このフィットの度合が高ければ、個人も組織も高いパフォーマンスを出すことができるというものである。
例えば、人間と組織の問題に関してはいえば、公式の組織ルールを構成員はどの程度認知しているか、組織と個人の目標はどの程度一致しているか、公式の組織ルールはどの程度まで満たされているかなど、フィットの度合を診断するものである。
上図はウォーナー・バークがOrganization developmentで紹介しているナドラーとタッシュマンのコングル―エンス・モデルを参考に作成。